本書の著者の小宮一慶先生の本は、とても読みやすく、内容も理解しやすいです。
私は、同著者の同シリーズである『ROEって何?という人のための投資指標の教科書』も読みました。しかし、今回紹介する『PERって何?~』のタイトルにあるPERのほうが投資においては重要と私は考えており、本の内容も『PERって何?~』のほうが初心者にはとっつきやすい内容となっているため、本書を今回は紹介させていただきます。
前回紹介した、『お金持ちになるためのバフェット入門』と合わせてご覧いただければ、より個別株投資の理解が深まると思います。
前回紹介した『お金持ちになるためのバフェット入門』では、難しい計算式は出ておらず、投資の神様ウォーレン・バフェットの考え方を感覚的に学ぶことができると紹介しました。
そのため、前書で銘柄を複数選び、本書では選んだ銘柄を指標から分析し、その株価の妥当性を分析するということを学ぶことができます。
本書は、指標を知ることで、冷静に判断できるようになり、株式投資の成功確率を上げることを目的としています。さらに、取り上げている指標も必ず知っておくべき重要な指標のみに厳選しており、その一つひとつを丁寧に解説しており、大変わかりやすいです。
まず、本書では、3つのステップに分けて分析をするべきと説いています。
- 経済分析
今が「買いどき」かどうか
→マクロ経済の動向を示す様々な指標から判断 - 企業分析
株を買っていい優良企業かどうか
→企業の財務諸表をみて、安全性・収益性・将来性を分析 - 株価分析
現在の株価が割安か割高か
→PER、PBRなどの投資指標から分析
株式投資に関する本を見ると、多くは「企業分析」と「株価分析」について書かれており、「経済分析」についてはあまり述べられていません。しかし、筆者は「経済分析」こそが株式投資には一番大事であると説いており、株式投資の検討のファーストステップとして最初の章で紹介しています。
- 日本編
・消費者物価指数
・設備投資、機械受注
・日銀短観
・マネタリーベース
・為替
・GDP - アメリカ編
・FRBが注視している指標「非農業部門の雇用 増減数」、「時間当たり賃金 前月比」、「消費者物価 前年比」
・個人消費
箇条書きで記載しましたが、どれも、投資始めたての頃、とりあえず経済紙などを読み始めると出てくる指標で、これって何だろう??とググることになる指標だと思います。これらの指標についても意味や考え方、経年の数字が記載されており、辞書代わりとしてもおすすめです。
- 貸借対照表(BS)で安全性の確認
・自己資本比率
・流動比率
・利益剰余金 - 損益計算書(PL)で収益性の確認
・売上高成長率
・当期純利益伸び率
・ROE、ROA - キャッシュフロー計算書(CS)で将来性の確認
・キャッシュフローマージン
・フリーキャッシュフロー
前回紹介した「お金持ちになるためのバフェット入門」でも、フリーキャッシュフローが重要であると紹介しましたが、本書でも、フリーキャッシュフローを「企業の真の実力を表す指標」として紹介しています。このフリーキャッシュフローについても本書では深く学ぶことができます。
また本章では、財務諸表の読み方の基礎もわかりやすく説明されています。
- PBR
- PER
- EPS
- 配当性向
これら数値の妥当な範囲の筆者の考え方が記載されています。
最後に、本章では日本を代表する実在する企業を例にし、重要な指標をクリアしているか解説をしてくれています。(NTTドコモ(現在は上場廃止)、大和ハウス工業、東京海上ホールディングス、ブリヂストン、キャノン、トヨタ自動車、三井物産、セブン&アイ・ホールディングス、日本マクドナルドホールディングス)
興味がありましたら、是非ご覧ください。
以上で本書の紹介は終わりとなります。
私は、本書で株価分析の基礎を学びましたし、今でもたまに見返している、とても大切な本です。アメリカ株投資においても本書で紹介されている指標は重要であり、アメリカ株投資家の方にも自信をもって紹介できる本です。
みなさまも本書を通じ、「買い時」や「優良企業」「割安・割高」を見極めて安く株を買い、長期で保有することで、自分の資産を増やしていってはいかがでしょうか。
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